共用資産の減損損失(容認処理)
下記において、共用資産は帳簿価額を各資産グループに配分し、配分比率はA:B:C=2:3:5であった。配分後の資産グループBと資産グループCに減損の兆候が見られる。
減損損失にかかる仕訳をせよ。
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減損損失 390 / 資産グループC 315
共用資産 75
①共用資産を配分する。
⇒グループA=210+40 ※200×20%
⇒グループB=300+60 ※200×30%
⇒グループC=420+100
②減損損失の認識
⇒グループB:(配分後)帳簿価額360 < 配分後将来CF390
⇒減損損失処理は不要
⇒グループC:(配分後)帳簿価額520 > 配分後将来CF160
⇒減損損失の算定
⇒帳簿価額520-配分後回収可能価額130=390
⇒グループCの減損損失=390×420/520=315
⇒共用資産の減損損失=390×100/520=75
※資産グループCと共用資産はあくまで別物なので、減損損失は資産グループCと共用資産(資産グループCに配分された分)で按分する!
共用資産の減損損失(原則)
下記において、資産グループB、C、共用資産に減損の兆候が見られる。
減損損失の配分は帳簿価額を基準として比例配分すること。なお、減損損失配分後の帳簿価額は回収可能価額を下回らないものとする。
減損損失に関する仕訳をせよ。
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減損損失 500 / 資産グループA 42
資産グループB 58
資産グループC 300
共用資産 100
共用資産の減損損失(原則)は、以下の手順で行う。
①各資産グループの減損処理を行う。
②共用資産を含む「より大きな単位」での減損認識・処理を行う。
③減損損失の配分
①
減損の兆候が見られるのはBとC(共用資産は一旦置いておく)
(1)Bの減損認識⇒帳簿価額290 < 割引前将来キャッシュフロー350
⇒減損処理は不要
(2)Cの減損認識⇒帳簿価額420 > 割引前将来キャッシュフロー140
⇒減損損失の算定へ⇒帳簿価額420-回収可能価額120=300
②
資産グループ全体での減損認識
⇒帳簿価額1,120 > 割引前将来キャッシュフロー800
⇒減損損失の算定⇒帳簿価額1,120-回収可能価額620=500
③
資産グループ全体での減損損失500の分配
⇒資産グループCにおいて減損損失300計上(①で算定した)
⇒共用資産において減損損失100計上(回収可能価額まで減損損失)
⇒資産グループAにおいて減損損失42計上(※)
⇒資産グループBにおいて減損損失58計上(※)
※減損損失100を資産グループAと資産グループBの帳簿価額に比例して配分
減損損失後の減価償却
期首に機械100,000円(残存価額10%、耐用年数5年、定額法)を取得し、使用開始してから2期目の期末の減価償却後に減損損失3,000円を計上した。
3期目の減価償却費を仕訳せよ。
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減価償却費 17,000 / 減価償却累計額 17,000
【参考】
減損損失は帳簿価額から直接法で評価することから次のようになる。
(2期目の減価償却後)
機械 100,000 ※残存価額10,000円
減価償却累計額 △36,000
(減損損失算定後)
機械 97,000 ※残存価額10,000円
減価償却累計額 △36,000
⇒残存価額は取得価額に課されるものであるから、帳簿価額が変わったとしても不変。(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第6条1項)
よって、3期目の減価償却費は
⇒{97,000-(36,000+10,000)}/3年
=17,000
減損損失
機械(帳簿価額200円)に減損の兆候が見られるので、当期末に将来キャッシュフローを見積もったところ、経済的残存使用年数3年の各年につき50円ずつのキャッシュフローが生じ、使用後の正味売却価額は30円と見込まれた。
当該機械の当期末における時価は100円、処分費用は10円と見込まれた。必要な会計処理を行いなさい。
なお、将来キャッシュフローの現在価値算定にあたっては、割引率5%を用い、円未満は四捨五入すること。
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減損損失 38 / 機械 38
減損損失の処理は3プロセス
①減損の兆候 →問題文に指示あり
②減損損失の認識 →割引前将来キャッシュフローと帳簿の比較
③減損損失の算定 →回収可能価額の算定(正味売却価額と使用価値(将来キャッシュフローの現在価値)の高い方)
②減損損失の認識(回収可能テストの実施)
割引前将来キャッシュフローと帳簿価額を比較
⇒50+50+50+30=180 より
帳簿価額>割引前将来キャッシュフロー
⇒減損損失の認識
③減損損失の算定
(1)正味売却価額
⇒100-10=90
(2)使用価値(将来キャッシュフローの現在価値)
⇒50/1.05 + 50/1.05^2 + (50+30)/1.05^3=162.077…
⇒200-162=38
【参考】
日本では蓋然性基準を採用しているとのこと。これは、減損損失の額が大きくて戻らない程度になった場合に減損損失を計上するというもの。そのため、②減損損失の認定の時点では(計算が容易で使用価値を下回ることのない)割引前将来キャッシュフローの値を採用している。
セール・アンド・リースバック
×1年1月1日に機械(取得原価80,000円、前期末の減価償却累計額12,000円、耐用年数6年、残存価額10%、定額法)のセールアンドリースバック契約(ファイナンスリース取引)を締結した。
売却価額83,500円、リース期間5年、リース料年額18,000円、リースバック以降の経済的耐用年数5年、残存価額8,000円、減価償却は定額法、支払日毎年12月31日払、計算利子率は2.552%である。
リース終了までの仕訳をせよ。(円未満は四捨五入し、リース債務の長短分類は無視すること。)
なお、決算は12月31日である。
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(×1年1月1日)※契約時
現金 83,500 / 機械 80,000
減価償却累計額 12,000 / 長期前受収益 15,500
リース資産 83,500 / リース債務 83,500
(×1年12月31日)※支払時
リース債務 15,869 / 現金 18,000
支払利息 2,131 ※83,500×2.552%
(×1年12月31日)※決算整理
リース資産減価償却費 15,100 / リース資産減価償却累計額 15,100
長期前受収益 3,100 / リース資産減価償却費 3,100
⇒長期前受収益(費用)はリース期間に等分して減価償却に対応させて償却する
⇒15,500÷5=3,100
あとは順次・・・
ファイナンスリース(前払型)
×1年1月1日に機械のリース契約(ファイナンスリース取引)を締結した。
リース期間5年、リース料年額28,988円、支払日毎年1月1日前払である。リース資産の計上価値は125,000円、計算利子率は8%である。
リース終了までの仕訳をせよ。(円未満は四捨五入し、減価償却は無視する)
なお、決算は12月31日である。
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(×1年1月1日)※契約時
リース資産 125,000 / リース負債 125,000
リース負債 28,988 / 現金 28,988
(×1年12月31日)
支払利息 7,681 / 未払利息 7,681 ※リース残96,012×8%
(×2年1月1日)
未払利息 7,681 / 支払利息 7,681
リース負債 21,307 / 現金 28,988
支払利息 7,681
(×2年12月31日)
支払利息 5,976 / 未払利息 5,976
(×3年1月1日)
未払利息 5,976 / 支払利息 5,976
リース負債 23,012 / 現金 28,988
支払利息 5,976
(×3年12月31日)
支払利息 4,135 / 未払利息 4,135
(×4年1月1日)
未払利息 4,135 / 支払利息 4,135
リース負債 24,853 / 現金 28,988
支払利息 4,135
(×4年12月31日)
支払利息 2,148 / 未払利息 2,148
(×5年1月1日)
未払利息 2,148 / 支払利息 2,148
リース負債 26,840 / 現金 28,988
支払利息 2,148
※前金払いであるため、利息は決算前に未払利息として計上され、次年度に振替仕訳される。
なお、×1年1月1日の支払時点においてリース資産は96,012円であり、12月31日までの利息は当期の当該資産額にかかるものなので、決算期に支払利息として計上する。
オペレーティングリース
×1年1月1日に機械のリース契約(オペレーティング・リース取引)を締結した。
リース期間4年、リース料年額12,000円、支払日12月末日である。リース料支払時における仕訳をせよ。
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支払リース料 12,000 / 現金 12,000
【解説】
オペレーティング・リースとは、ファイナスリース以外のリースである。要はただの賃貸借契約という認識。(ファイナンスリースの実質的借入契約という考え方の方が特殊)
資産性はなく、単純に費用計上する。(販売費及び一般管理費)
(借方)支払リース料 / (貸方)現金等