ファイナンスリース(所有権移転外)

×1年1月1日に機械のリース契約(所有権移転外ファイナンスリース)を締結した。
リース期間3年、リース料年額10,000円、支払日12月末日、リース資産見積現金購入価額26,979円、当社の追加借入利子率は年6%であった。
この時、①貸手の計算利子率を5%と知りうる場合、②貸手の計算利子率を知り得ない場合のそれぞれの仕訳を行いなさい。
なお、円未満の端数が生じる場合は全て四捨五入すること。

 

 

 

 

 

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①リース資産 26,979  / リース債務 26,979
②リース資産 26,730  / リース債務 26,730


【解説】
ファイナンスリースとは、形式的には賃貸借取引であるが、実質的には資金の借入れによる資産の取得である。
そのため、次のような仕訳となる。
(借方)リース資産の増加  / (貸方)リース債務の増加

ここで、リース資産算定にあたっては、リース料からリース元本を算定する必要がある。
リース料=リース元本×(1+利子率)であることから、
⇒リース料元本=リース料÷(1+利子率)となる。 
ここで、複数年にまたがるリースであるとき、複利となることから、
リース料÷(1+利子率)+リース料÷(1+利子率)÷(1+利子率)+・・・となる。

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①貸手の計算利子率を知りうる場合
貸手の計算利子率とは、貸手がリースを行うにあたって算定している利子率のこと。
=10,000÷1.05+10,000÷1.05^2+10,000÷1.05^3
=9,523.809+9,070.294+8,638.375
=27,232 ※円未満四捨五入

リース資産見積現金購入価額と貸手の計算利子率によるリース資産見積価額を比較し、安い方をリース資産として採用する。
⇒リース資産見積現金購入価額26,979円<リース資産見積価額27,232(貸手の計算利子率)
⇒リース資産 26,979


②貸手の計算利子率を知り得ない場合
通常、貸手の計算利子率は知り得ない。その場合は代わりに当社の追加借入利子率を用いる。
なお、当社の追加借入利子率とは、自身で借入れを行ってリース資産を購入する場合にかかる利子率のことである。
=10,000÷1.06+10,000÷1.06^2+10,000÷1.06^3
=9,433.962+8,899.964+8,396.192
=26,730 ※円未満四捨五入

リース資産見積現金購入価額と当社の追加借入利子率によるリース資産見積価額を比較し、安い方をリース資産として採用する。
⇒リース資産見積現金購入価額26,979円>リース資産見積価額26,730(貸手の計算利子率)
⇒リース資産 26,730


【参考】
リース料=リース元本×利子率であることから、
⇒利子率が高い=リース元本が安い
となることがわかる。

実は、本問題ではリース資産見積現金購入価額は利子率を5.5%として算定している。これを踏まえて問題を解くと、
①リース資産見積利子率:5.5%
②貸手の計算利子率  :5.0%
③当社の追加借入利子率:6.0%
であることから、リース資産価額は、③<①<②となる。

売価還元法

売価還元法(容認処理)により、損益計算書を作成しなさい。

期首商品原価 2,000円
期首商品売価 2,500円
当期仕入原価 7,000円
始値入額  1,000円
値上額    2,200円
値上取消額   200円
値下額    1,500円
値下取消額   250円
売上高    6,750円
期末商品実地売価 4,000円

 

 


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売上           6,750

売上原価         5,720

  期首商品 2,000

  仕  入 7,000

  期末商品 3,600

  商品評価低価損 320

売上総利益        1,030

(販売費および一般管理費) 

 棚卸減耗費 400

 営業利益            630

 

<解説>

【インプット売価】        【インプット原価】
+)期首商品売価 2,500円     期首商品原価 2,000円
+)当期仕入原価 7,000円   +)当期仕入原価 7,000円
+)原始値入額  1,000円   合計       9,000円
+)値上額    2,200円   
ー)値上取消額   200円
ー)値下額    1,500円
+)値下取消額   250円  
合計       11,250円


【原価率】
=インプット原価/インプット売価
=9,000/11,250
=80% ・・・①

 

【期末商品計算】
インプット売価=アウトプット売価(売上+期末商品)
⇒11,250=6,750+期末商品(売価ベース)
⇒期末商品(売価)=4,500 ※帳簿売価 ・・・② 

※期末商品実地売価=4,000(問題文より)・・・③

 

【売価還元低価法における売価】…売価から値下分を還元(除外)する方法

=売価+値下合計額(値下額-値下取消額)

=11,250+(1,500-250)=12,500

値下げは売上原価にのみ帰属するものであるにもかかわらず、原価法ではアウトプット原価全体(売上原価+期末商品)に値下げ分が反映してしまっている。そのため、本来、費用として計上すべき値下げ分が期末商品に加味されてしまっている。そこで、期末商品の算定にあたって、値下げ分が期末商品に反映しないよう、値下げ分を還元(除外)した期末商品用の原価率(低価法原価率)を用いることで、正確な期末商品の算定を行うことができる。直接原価計算と全部原価計算における期末商品評価と似たような考え方ではないかと思います。(独自解釈)

 

【低価法原価率】

=原価/売価還元低価法における売価

=9,000/12,500

=72% ・・・④

 

上記①、②、③、④よりアウトプット原価を算出する。

【期末商品】

⇒期末商品(棚卸売価)×原価率=4,500×80%=3,600

【棚卸減耗費】

⇒期末商品(棚卸売価-実地売価)×原価率=400

【商品低価評価損】※値下げに伴う費用

⇒(原価率-低価法原価率)×期末商品(実地売価)=320

 

なお、下図のように整理すると非常に分かりやすい。

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商品低価評価損

以下の情報から損益計算書を作成しなさい。

総売上高 2,000円
期首商品棚卸残高 500円
当期総仕入高 900円
帳簿棚卸数量 50個
実地棚卸数量 45個
原価 @10円
売価 @9円
見積販売直接経費 @1円

 

 

 

 

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売上高  2,000
売上原価 1,040
期首商品  500
当期仕入  900
期末商品  500
棚卸減耗費  50 ※販売費及び一般管理費の場合もある
商品低価評価損 90
営業利益 960

※商品低価評価損=実地棚卸数量×(原価-売価+見積販売直接経費)

棚卸減耗

以下の情報から損益計算書を作成しなさい。

総売上高 3,000円
期首商品棚卸残高 900円
期末商品棚卸残高 1,000円
当期総仕入高 1,500円
棚卸減耗費 100円
棚卸減耗損 500円

 

 

 

 


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売上高  3,000
売上原価 1,500
期首商品  900
当期仕入 1,500
期末商品 1,000
棚卸減耗費 100 ※販売費及び一般管理費の場合もある
営業利益 1,500
特別損失  500
棚卸減耗損 500
経常利益 1,000

※「棚卸減耗費」は正常な営業活動のもとで毎期経常的に発生する程度の「原価性を有する」損失のこと
 ⇒費用計上
※「棚卸減耗損」は通常発生しえない「原価性を有しない」損失のこと
 ⇒特別損失計上

売上計上

以下の情報から損益計算書を作成しなさい。

期首商品棚卸残高 2,200円
期末商品棚卸残高 1,700円
当期総仕入高 9,300円
仕入戻し 500円
仕入値引 100円
仕入割戻 200円
総売上高 13,000円
売上戻り 1,000円
売上値引 600円
売上割戻 400円

 

 

 

 

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売上高 11,000
売上原価 9,000
期首商品 2,200
当期仕入 8,500
期末商品 1,700
営業利益 2,000

※損益計算書上の売上高は、総売上高から[売上戻り+売上値引+売上割戻]を引いた"純売上高"となるが、「売上値引」と「売上割戻」については、売上にかかる費用的な側面をもつことから、原価計算における売上高には計上しない!
⇒売上原価率に影響してくる。
(参考)本題における売上原価率は9,000÷12,000=75%となる

原価率

原価160円の商品を売上利益率20%になるように販売した場合、①売価、②利益、③売上原価率、④付加利益率はそれぞれいくらになるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

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①売価:200円
②利益:40円
③売上原価率:80%
④付加利益率:25%

【解説】
売価×利益率=利益
売価×原価率=原価
原価率+利益率=100%

⇒売価×(100%-20%)=160
⇒売価×80%=160
⇒売価=200

なお、④付加利益率=利益÷原価
⇒原価に対してどれだけ利益を乗せているかの割合

見本

商品300円を見本品に転用した。

 

 

 

 

 

 

 

 

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見本費 300  / 仕入 300

※見本費は販売費なので、販売費及び一般管理費に区分けされる。
※見本費として転用した仕入は他勘定振替高(販売費及び一般管理費)として売上原価から控除される。